ヴィンテージの製品に取り付けられているタグは、時代とともに表記の形式やロゴ表記が変更されていることが多く、年代判定において重要な材料となります。また、タグ表記はある特定の時代の特徴、流行などを反映している場合もあります。
ウールリッチの代表的なタグデザイン
40年代以前から50年代にかけてのウールリッチのタグは、羊の絵柄にWoolrichと刺繍されたタイプで、”黒タグ”、または、”黒羊タグ”と呼ばれています。
60年代以降は簡略化された羊のデザインとなります。このロゴマークはご覧になられたことのある方は多いのではないかと思います。
今回は、一つ前の投稿で紹介したヴィンテージ・ウールリッチのウールシャツジャケットのタグについて、考察を行います。下の写真の様な形状のタグは、三角タグと呼ばれています。形状は正確には三角ではなく台形に近いと思うのですが、慣用的に三角タグと呼んでいます。
基本的なタグのデザインは、黒タグと同じです。
三角タグが登場したのは1950年代の終わり頃と推定しています。
年代推定の材料
- タグのデザインが黒タグであること。
- ディテールなどの特徴も古い年代と共通であること。
- 1950年代の終わり頃に、Leeもデニムジャケットに同様の形状の三角タグを採用してこと。
尚、通常の黒タグは右側にサイズ表記が入る場合が多いです。
下の写真左は、ウールシャツのタグです。右側にサイズ表記、”MEDIUM”, “15-15 1/2″の表記があります。15や15 1/2は首回りのサイズで、シャツのサイズ表記として一般的なものです。カジュアル系のシャツのサイズ表記は、S, M, L, XLなどが使われるのが通例です。
同写真右は、ウールのフードジャケットのタグです。こちらは、サイズ表記は”MEDIUM”と表示されています。
今回紹介しているウールシャツジャケットの場合、上の写真の様にタグにはサイズ表記がありません。その代わりに、タグの右側に、白の別布でサイズ表記を示す38の表示があります。
シャツジャケットのタグ・サイズ表記の特徴が示唆する事
- サイズ38のサイズ表示の形式は、ジャケットで使用されます。本品がジャケットとしての位置付けになっていることを間接的に示していると言えます。
- 50年代以前のWoolrich黒タグには、サイズの表記はありません。サイズ表記は、別布でサイズ表記されています。これらのことから、三角タグの中でも、サイズ表記が入らないものは最初期のものである可能性が高いと思います。
注目ポイント 一般的に、タグ表記の特徴や形状は各メーカーである程度の類似性があります。
ペンドルトンのウールシャツのタグは、50年代前半以前はタグにサイズ表記はありません。サイズ表記がタグに加えられたのは、50年代の後半以降です。尚、ペンドルトンのシャツのサイズ表記は、ボードシャツはS/M/Lで、ウエスタンシャツは”15”などの首回りのサイズ表示です。
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