リーバイスの501は、伝統的に新品の製品にギャランティーチケットと呼ばれるオイルクロス製の品質保証書が付けられて、販売されていました。

ギャランティーチケットの歴史は非常に古く、501のロット番号が付与された1890年頃にはスレーキにギャランティチケットがスタンプされているものの存在が確認されています。501ロットナンバー付与から2年後の1892年頃より、ギャランティーチケットは、オイルクロスと呼ばれるオイルを染み込ませた布にスタンプされ右バックポケットに取り付けられる様になりました。
ギャランティーチケットの上部には、FOR OVER XX または XXX YEARSと二桁、または3桁の数字が入ります。ここに入る年によって、そのチケットが取り付けられていたおおよその年代が分かります。
今回紹介する品は、FOR OVER 70 YEARSのギャランティーチケットです。
2種類あるFOR OVER 70 YEARS
FOR OVER 70 YEARSのギャランティーチケットは、表記形式が2種類あります。一つは、それ以前の年代のギャランティーチケットと同じ、FOR OVER XX YEARの下の行に、”OUR CELEBRATED XX BLUE DENIM COPPER RIVETED OVERALLS”の表記が入るもの。もう一つは、同じ箇所の表記が、”OUR CELEBRATED XX BLUE DENIM ORIGINAL RIVETED OVERALLS”の表記のものです。
COPPER RIVETEDから、ORIGINAL RIVETEDに表記が変わっています。
同様に中央右側に表示されるツーホースマークのロゴの上に入る表記もCOPPER RIVETED CLOTHINGからORIGINAL RIVETED CLOTHINGに変わっています。
「物資統制により銅が使えなくなったため、表示がORIGINALに変わった。」との説がありますが、確認はとれていません。
また、戦後の銅リベットを使用した革パッチの501XXに付いているFOR OVER 80 YEARSや紙パッチの501XXのFOR OVER 85 YEARSのギャランティーチケットの表記も、ORIGINALのままです。このORIGINAL表記は、現行のギャランティーチケットでも変わっていません。
1930年代の後半から1940年代にかけて、リーバイスは赤タブ、アーキュエットステッチなど商標登録を積極的に行うようになりました。銅リベットより、リベットの衣類に使用する元祖であることを強調する意味で、ORIGINALに変更した可能性も考えられます。
ORIGINAL表記のFOR OVER 70 YEARSのギャランティーチケットは、通称大戦モデルと最初期の片面タブ 501XX(1946年、または47年ごろまで。多分46年が基本的に最後だと思います。)に取り付けられていたと推測しています。
- FOR OVER 70 YEARSのギャランティーチケットが取り付けられているデッドストックの大戦モデルと最初期の片面タブ501XXの存在が確認されていること。
- FOR OVER 70 YEARSのギャランティーチケットの残存数は非常に少ないこと。
- 片面タブの最初期のディテールのデッドストックでも、FOR OVER 80 YEARSのチケットが付けられているものもあること。
- 80 YEARSと85 YEARSの残存数に対して、70 YEARSの相対的な数が非常に少ないこと。
等の材料から、推測しています。
コンディション
オイルクロスのギャランティーチケットは、取り外す際に注意を払わないと、穴や傷ができます。また、オイルクロスは管理に注意が必要です。管理の仕方によって、痛みが激しくなることがあります。紙などの上に乗せていると、へばりついてしまったり、印刷が剥げてしまったりすることもあります。
本品は、右上角が少しほつれによるものか僅かに欠損している感じですが、それ以外の状態は、かなり良いです。ホッチキスの留められていたところも綺麗に外されています。表も裏も状態は非常に良いです。
また、含まれている油分はほぼ抜けているので、今後の管理はそれほど神経を使わなくても大丈夫です。額縁に入れて飾ったりするのにも適しています。
以下、各部の写真です。クリックすると拡大表示されます。
元々希少性が高いFOR OVER 70 YEARSのギャランティーチケットですが、さらにこれだけコンディションの良いオイルクロスのギャランティーチケットは、希少性が非常に高いです。
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