レッドウイングを代表するアイリッシュセッターは、1950年に市場に初登場、瞬く間に大人気となり、一世を風靡しました。アイリッシュセッターの大成功により、戦前までは地元ミネソタ周辺以外ではほとんど知られていなかったレッドウィングの名を全米に知らしめ、さらには東海岸の高層ビル建設現場の作業員たちから圧倒的な支持を受け、レッドウィングがワークブーツメーカーとしての地位を不動のものにする礎を築くことに貢献しました。
アイリッシュセッターは、1997年に米国内ではレッドウイングから独立したブランドとなり、製品展開されています。ホームページもレッドウイングとは別の独立したサイトがあります。
さらに2011年にブランドに”WORK”ライン(ブランド)が加わり、Irish Setter “HUNT“と”WORK“の二つのラインに分かれ、それぞれかなりの種類のブーツを揃えています。サイトも別のアドレスにあります。
本記事ではアイリッシュセッターの両サイトに掲載されているアイリッシュセッターの歴史を紹介します。二つのサイトで、微妙に内容が一致しないところなどもあります。
アイリッシュセッターは、時代とともに大きく変化しています。現在の米国内で販売されるアイリッシュセッターブランドの製品は最新の技術を取り入れたブーツが中心です。
アイリッシュセッターの歴史
50年代
1950年
1950年、レッドウイングはスタイル番号854を発表しました。854は猟犬アイリッシュセッターの名前を連想させる特徴的なレッドラセットのレザーで造られていました。

1952年
アイリッシュセッターの代名詞となる”Cush-N-Crepe”ウェッジソールを備えた877が発表されました。この新しいソールはあっという間に、アップランド・ゲームハンター達のお気に入りとなりました。

1952-53年
1952年、最初のアイリッシュセッターのロゴが作成されました。ロゴのデザインの元となった”Red Mike of Doxmoe”です。

HUNTのサイトでは1952年、WORKのサイトでは1953年となっています。1953年の広告に、ロゴが確認できるので、53年以前であることは判明しています。
1956年
インシュレーションの最初のモデル、スタイル898が発表されました。寒地・極寒の環境下で長時間過ごすハンター達から歓迎されました。

“Finest in the Field”のタグラインが初めて使用されたアイリッシュセッターのサイン。ガセット裏にタグが付けられました。

サイトの説明では、刺繍タグが最初に取り付けられたのは、1956年となっています。
60年代
1960年
トラクショントレッドソールの広告が登場します。広告には、高層ビルの鉄骨を組み立てる労働者が登場します。また、スタイル877の広告で”ダブルライフ”というコピーが表示されます。877は元来ハンター用として登場しましたが、アメリカの労働者達からも使用されることになったことで、ダブルライフとコピーが付けられました。

1964年
スタイル888が発表されます。このブーツは、グリーンのカンガルーレザーを使用し、ビニールカバーのケースに収められていました。ブーツは、ソックスとレザーコンディショナーと一緒に販売されました。

888は緑のソックスとコンディショナーもセットで、専用の鞄ケースに入れられて販売されました。トップライン・ハイエンドの顧客層向けの特別な位置付けのモデルだったと思われます。
1968年
ウォータープルーフレザーを採用した最初のアイリッシュセッタースタイル2488が登場。このモデルにより、アイリッシュセッターは、技術革新(イノベーション)の評判を確固たるものとします。

70年代
1973年
レッドウイングは、アメリカの熟練したクラフツマン達を狙った広告シリーズを展開します。下の写真は、その中の一つの広告です。シカゴの鉄骨工のJohn Rukavinaさんがアイリッシュセッターを履いてシアーズタワーのテッペンに立っています。

80年代
1984年
807の広告で、”Not Just For Hunting Anymore.”のヘッドライン、”Today’s working men are wearing them every day on the job as well as out in the field.” のメッセージが入ります。

1960年ごろからアイリッシュセッターは、労働者層からも愛用されているわけで、何も今更、で、”ハンティング用だけではない”と改めて広告で強調することもないような気がしますが。。。80年代に入って、経営陣が大幅に若返り、メッセージングなどに注力するようになったことの表れの一つだと思います。
1986年
2層構造のレザーを備えたウォータープルーフ・ブーツの815が登場します。このようなカッティングエッジの構造の初めての製品でした。

90年代
1997年
アイリッシュセッターは、レッドウイングの名前の付かない独自のブランドとして独立しました。ハンティングブーツのラインは拡張され14のスタイルが用意されました。また、ラインにはソックス、アウトウェア、フットウェアのケアプロダクトが加えられました。

レッドウイングの名前、ロゴがないところにご注目!!
2000年代
2000年
アイリッシュセッター50周年。レッドマイクがロゴに表示されています。

レッドマイクは、上の画像の1997年のロゴマークにもあるのですが。。。
2004年
アイリッシュセッター・ハントブランドは成長。レッドウイングの名前をアイリッシュセッターに入れるように販売店が求めたため、レッドウイングの名前が加わって、新しいロゴが作成されました。

ブランディング・ブランド戦略は、流行もあります。変わらずに長く続くブランドやロゴもありますが、短命に終わる場合もあります。97年にレッドウイングの名を廃して独自ブランドにしたものの、レッドウイングの製品であることを強調した方が有効であるという販売店側からのインプットを受け、ブランド戦略を変更したものと思われます。現在も、社内的には、事業としては完全に分かれているようです。
2006年
アイリッシュセッターのフラッグシップ・ビッグ・ゲームブーツ、882が発表されます。882は、古グレインレザー、ゴアテックス、ブラスハードウェア、レザーウェルトの構造などの特徴を持ちます。882は、険しい地形・環境での本格的なビッグゲーム・ハンター向けの地位を築きます。

2010年代
2010年
ラバーハンティングブーツ市場に革命を起こすデザインと素材を使用したExo-Flexテクノロジーを発表します。

2011年
ワーク市場向けのアイリッシュセッター・ワークブランドが追加されます。

2013年
革新的な素材を使用し、非常に高い快適性とお耐久性を兼ね揃えながら、軽量化を実現したRPMテクノロジーを発表します。

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