新製品は、その会社の注力分野や方向性を読み取る材料となります。
今回は、2015年秋冬と現時点までで発表されている2016年の新作モデルから、レッドウィングジャパンの製品戦略と注力分野について考察を行います。
新製品ラインナップの注目点と考察
新製品ラインナップの注目ポイントを、製品カテゴリー、レザー、ソールの各項目別に以下に分類してみます。
- 製品カテゴリー・タイプ
- 〜6インチ 3スタイル(ジラード、ポストマン、ラインマン)、計5色
- オックスフォード 2スタイル(ミルワン・ブルーチャー、ミルワン・サドル)、計4色
- >8インチ ブーツ 2スタイル (エンジニア、ハンツマン)、計2色
- レザー
- フェザーストーン (ジラード)
- リタン ブラックとブラウン(ラインマン)
- オロラセット・ポーテージ(エンジニア)
- シャパラル ブラック(ポストマン)
- クロンダイク ブラック(ハンツマン)
- エスカイヤ
- ブラックとダークブラウン(ミルワン・ブルーチャー)
- ブラックとブラックチェリー (ミルワン・サドル)
- ソール
- グロコード・メダリオン・ソール/Gro Cord on Leather
- ジラード、ミルワン・ブルーチャー、ミルワン・サドル、ハンツマン
- ブラックネオプレーンコード
- エンジニア オロラセット・ポーテージ
- ブラック・クッションクレープ
- ポストマン
- ブラック・ニトリルコルク
- ラインマン
- グロコード・メダリオン・ソール/Gro Cord on Leather
2015年秋冬の新製品
2015年秋冬の新モデルはワークドレス系の少しドレッシーな雰囲気もあるクラシックな力作が揃っています。
以下、Red Wing Japanの公式Facebookの投稿ページから各新モデルの写真を紹介します。
ジラード
Posted by Red Wing Japan on Sunday, December 13, 2015
ポストマン
Posted by Red Wing Japan on Friday, August 7, 2015
ワイドパネルラインマン
Posted by Red Wing Japan on Tuesday, December 22, 2015
エンジニア オロラセット・ポーテージ
Fall Winter 2015 New Styles PREVIEW Vol. 4
この秋冬に発売するオロラセットレザーのエンジニアブーツのプレビューです。9月末の発売を予定しております。もう少々お待ちください。
1995年から約10…
Posted by Red Wing Japan on Friday, August 7, 2015
ハンツマン
Posted by Red Wing Japan on Wednesday, September 16, 2015
2016年春夏
Mil-1 Blucher Oxford
Posted by Red Wing Japan on Thursday, January 14, 2016
Mil-1 Saddle Oxford
Posted by Red Wing Japan on Sunday, January 17, 2016
考察
2015年秋冬-2016年春夏の新製品のラインナップの中に含まれているエンジニアは、1995年から約10年間日本で発売していたモデルの再発売であり、新規デザインの製品ではありません。品番も同じです。
ハンツマンは、110周年記念の限定モデルです。
全体的に見て、ドレッシーな印象が強い製品が多いです。エンジニアとハンツマンを除くと、さらにドレス系が中心である印象が強くなります。
ソールは、レッドウィングを代表すると言っても過言ではないオフホワイトのクッションクレープソールの製品はありません。唯一、ポストマンが黒のクッションクレープソールを採用しています。
ジラード、ミルワン・ブルーチャー、ミルワン・サドル、ハンツマンは、グロコード・メダリオン・ソールです。
新製品ではグロコード・メダリオンソールが中心であることがわかります。グロコード・メダリオンソールは、レザーソールにラバーのタップ(半張り)を組み合わせたソールです。
グロコード・メダリオンソールは、ドレス系であっても、レッドウィングらしさを感じさせることにも寄与していると思います。
ジラードはかなりドレッシーさを感じさせる6インチブーツです。
そして、2016年の新製品、ミルワン・ブルーチャー、ミルワン・サドルは、ドレッシーさが強く感じられるオックスフォード・短靴です。
2015年、日本で最も売れた製品は、9011 ベックマンブーツ・ブラックチェリーです。長い間売り上げNo.1であった8875を抜いての偉業を達成しました。
レッドウィングジャパンでは、ベックマンが売り上げ第1位となった理由として、以下のようにコメントしています。
レッド・ウィング・ユーザーの方の幅も広がり、ややフォーマルなものをお好みのオトナのユーザーの方が増え、かたや白底のレッド・ウィングを既にお持ちの方が、お手入れ、リペアを重ねながらそれらを履き続けてくださっている事も、この背景にあるかと思います。
このコメントは、レッドウィングの日本での今後の方向性を示唆していると思います。
- アイコニックな白のクレープソールのレッドウィングは、既に市場にかなり浸透、普及している
- レッドウィングのブーツは長寿命である
上記から、買い替えによる需要増はそれほど多くは望めない。そして、ベックマンの成功により、よりフォーマル、ドレッシーな用途でレッドウィングを着用するユーザーも増えてきていることもあって、今後のレッドウィングの日本での事業の成長には、やはりドレッシーなブーツ、シューズが成功の鍵となることを示しています。
ミルワン・ブルーチャー、ミルワン・サドル・オックスフォードの反応や今後の市場動向などにもよりますが、レッドウィングが、本格的にドレスシューズ市場に参入する可能性がでてきていると思います。
レッドウィングが本格的なドレスシューズを作ると言っても、今回のミルワン・オックスフォードのファミリーの様にレッドウィングらしさ・レッドウィングの味付けがされたテースト溢れる製品になると思います。
勢いに乗るレッド・ウィング・ジャパン
日本のネット上でのレッドウィングへの関心は、極めて高いと感じています。ツイッターやFacebookなどを見ていると、レッドウィングに興味を持つ人もさらに増えてきている様な印象を持っています。
2015年に発売開始した110周年記念モデル、ハンツマンの評判は非常に高く、大成功を収めたと思っています。また、日本ではベックマンの人気もとても高く、昨年ベックマンは、長年売り上げ第1位だった定番の8875を抜く偉業を達成しました。
また、2007年に日本の企画で誕生したアイアンレンジは、欧米でも人気を得て、現行のレッドウィングヘリテージを代表するモデルになる程の成功を収めました。
日本と同様にファッション用途が多いヨーロッパ市場では、日本国内の流通モデルに対する関心が高いです。
レッドウィング社内においても、レッド・ウィング・ジャパンの企画力は高い評価を得ていると想像しています。
昨年レッド・ウィング・ジャパンは、青山店に加え、大阪に直営店をオープンしました。直営店は、市場動向や顧客のニーズを把握する上で、重要な拠点となります。また、新製品の紹介、顧客の反応、手応えなどを掴むのにも適しています。
Red Wing Japanの運営するFacebookは、物凄い人気があります。一つの投稿に1000以上のお気に入りがつけられるのは珍しくないほどです。
事業も順調に伸びており、企画した新製品も期待通り売れているのではと推測しています。
ベックマンの成功により、従来のカジュアルファッション用途だけでなく、ドレッシー・フォーマルなファッションへの需要の高まりを感じており、その市場のトレンドを掴んでいこうという意気込みも感じます。
2016年の新作、第一弾と第二弾は共に、Mil-1ラストを使ったオックスフォードです。とてもドレッシーな印象を受ける製品です。
Facebookのミルワン・ブルーチャー・オックスフォードの紹介記事は、この記事を書いている時点で、3300を超えるお気に入りを獲得しています。ミルワン・サドル・オックスフォードの紹介記事は2000を超えています。驚異的な数です。
SS2016 New Product Review Vol. 1 “Mil-1 Blucher Oxford”今回は、先日ご説明した オフィサーシューズ用ミルスペック・ラスト、「U.S. Mil-1」を使ったレッド・ウィングの新商品、…
Posted by Red Wing Japan on Thursday, January 14, 2016
Facebookを見る限り、ユーザー、潜在顧客の反応も非常に良いと言えると思います。
2016年のレッドウィングの動向、今後の展開に注目しております。
(追記)
ミルワン・ブルーチャー・オックスフォードの着用写真が、レッドウィングジャパンのInstagramに投稿されました。
これまでの写真で、かなりドレッシーなイメージがありましたが、この写真は、ジーンズに組み合わせています。さらに、シワやスリ傷なども入っています。
あえてシワを強調したりしているところも、通常のドレスシューズとは違うところが強調されていると思います。
いきなりドレスシューズとして位置付けても、これまでのイメージや顧客層とはあまりうまくかみ合わないので、やはり既存顧客・イメージから入っていく感じの手法を取っていると思います。妥当なアプローチだと思います。
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