506XXは通称ファーストと呼ばれるヴィンテージ・リーバイスのジージャンの代表的なモデルの一つです。ポケットは左胸に一つ、フロントプリーツ、バックルバック、ボックス型のシルエットが外観上の特徴です。
今回紹介するのは終戦後1946年頃からセカンドモデルが登場する1952年頃までの間の506XXのデッドストックです。デッドストックの506は希少性が非常に高く、ほとんど市場に存在しません。
同年年代のジーンズは、革パッチ、片面タブの501XX(通称47モデル)です。
ヴィンテージは一つ一つがとても個性的です。それは、デッドストックにも当てはまります。デッドストックは未使用の状態で保存されていたものとなりますが、製造されてから60年以上も時を経ているため、その間の管理状態や環境等によって、個々に差があります。
今回は共通する部分としない部分、ディテール等を中心に紹介します。また、後日、個々に詳細を紹介する予定です。
左が表記サイズ34、右が表記サイズ38です。生地の色味は写真撮影時の光の入り方によっても変わります。両方共、未洗い糊が残った風合いの生地です。左の506が白っぽく見えるところは、生地の白い糸が隙間から見えるためです。洗濯すると目が詰まって、白っぽい所は見えなくなります。これは生デニムの特徴です。
サイズ38の革パッチです。表面が一部劣化してしまっています。しかし、パッチの表示はほぼ全て読み取る事ができます。ロット番号、サイズ表示も読み取れます。
この時代のジャケットのパッチはジーンズのものを流用していました。そのため、サイズ表記の部分にジーンズのサイズ表記であるW(ウエスト)とL(レングス)が印刷されています。
サイズ34のパッチの状態は非常に良いです。ほとんど劣化も見られません。この様に同じデッドストックでもパッチのコンディションも異なります。
(写真はサイズ34)
506XXは、フロント胸ポケットの取り付け強化にリベットが使用されています。セカンド以降はリベットは廃止となり、代わりにバータック(通称カンヌキと呼ばれるステッチ使い)が使用されています。
タブは通称片面タブと呼ばれるものです。ビッグEのリーバイス表記で©はつきません。
タブの裏面はブランクになっています。(写真はサイズ34)
506XXには背中の裾近くにシンチバックと呼ばれるベルトとバックルがあり、裾周りの大きさを調節できる様になっています。シンチバックは古い年代のジーンズとジャケットに採用されていた特徴的なディテールです。(写真はサイズ34)
シンチバックは、ジーンズは戦前のモデルまでの採用で、大戦中のモデルチェンジによって廃止となりました。ジャケットは戦後の506までの採用で、セカンドモデルで廃止となりました。
シンチバックのベルトの取り付けにもリベットが使用されています。(写真はサイズ34)
古い年代のデニムジャケットでは、前合わせ部両側にプリーツが入っているのが大きな特徴です。フロントプリーツは19世紀の最初期の頃のデニムジャケットに採用されている伝統あるデザインです。リーバイスのジャケットの場合、フロントプリーツはセカンドまでが採用しています。(写真はサイズ38)
フロントプリーツの取り付けの固定は長方形状のステッチで固定されています。
フロント前合わせ部の縦に入るステッチは、向かって左がイエロー、右がオレンジです。手元にある506は全て同様のステッチの色使いとなっています。この箇所のステッチの色は仕様として決められていたのかもしれません。
前合わせ部の裾付近の内側から撮影した写真です。(写真はサイズ38)
この2着の506XXのボタン裏は刻印の数字はなく、二カ所引っ掻いた様に隆起した特徴的なボタン裏の形状をしています。
ウエストバンド裏の縫製は上がチェーンステッチ、下がシングルステッチです。このステッチディテールはセカンドの革パッチまで継続されます。
ウエストバンド下側のオレンジ色のステッチが前合わせ部のボタンを囲う様に写真では 逆コの字型になっています。これは、通称折り返し(切り返し)ステッチと呼ばれるディテールです。
このディテールはセカンド507XXのステッチディテールとして有名です。原型は写真の様に506XXでも採用されていました。
前合わせ部裏には縦にセルビッジ(耳)が露出しています。赤(写真ではピンク色)の線が入る通称赤耳です。
サイズ38はオレンジ色のステッチがほとんど使われていますが、サイズ34ではイエローのステッチが多く交ざっています。上の写真は腕部のステッチです。上はオレンジ、下はイエローの糸が使われています。サイズ38では両方共オレンジです。
サイズ34のフロント胸ポケット部から脇にかけての拡大写真です。両脇の縫製もイエローの糸が使用されています。サイズ38はオレンジです。
個人所有の506のサイズ38(写真中央)を加えて撮った写真です。この506はワンウォッシュまたは数回洗濯した程度のコンディションです。写真では青みがかって見えますが、古い年代特有の黒みがかったとても魅力的な色をしています。後ろの506XXの色味が共通しているの様に見えます。
このデッドストック2着は、後日、個別にブログで詳しい説明を紹介する予定です。
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