ロングホーンインポート

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「おがみモカ」と「かぶせモカ」

モカシン縫いは、大きく分けて2種類あります。

一般的なモカシンは、2枚の革が縫い合わせが見えるおがみモカと呼ばれるモカシン縫いです。レッドウイングのアイリッシュセッターは、基本的におがみモカです。

おがみモカ

下は80年代後半のアイリッシュセッター877のつま先部の写真です。

縫い目のところのアップになります。これは少し離れていますが、ピッタリと2枚の革がくっついている場合もあります。いずれにせよ、縫い合わせ部が露出しているのが、おがみモカ(Pac Moc)です。

かぶせモカ

縫い合わせ部から水が入ってくるのを防ぐ(抑える)ため、片方の革(通常は甲部)が革の継ぎ目をかぶせるよう覆って縫い合わせる構造になっているのがかぶせモカ(English Moc)です。

下の写真は、ラッセルモカシンのブーツのつま先部です。

横からモカシンの縫い合わせ部を見てみます。甲部の革が上を覆っています。これがかぶせモカです。

水辺や水たまり、雨の中でも靴の内部に水が侵入するのを防ぐため、ラッセルモカシンのハンティングブーツはすべてかぶせモカになっています。

かぶせモカを採用しているレッドウイングのモデル

1960年代のアイリッシュセッター 888

1960年代に登場したスーパーセッターの別名を持つ888は、かぶせモカを採用しています。

888のつま先部の写真です。

甲部の革が継ぎ目を覆って縫い合わされています。

888は、水の侵入を防ぐ構造のノルウェイジャン・ウェルトも採用しています。さらに、耐水性に優れるスコットランド製ヘビーザグ・レザーをヴァンプに使用しています。

使用レザーやノルウェイジャンウェルト製法であることから考えて、888がかぶせモカであることは、自然で妥当な仕様とも言えます。

1963-65年のアイリッシュセッター 875

興味深いことにレッドウィングジャパンのFacebookに、ロングセラーの875の60年余りの歴史の中で、1963年から65年の3年間だけ、かぶせモカの仕様で製造されたものがあるとの投稿があります。写真は推定1964年製の875です。

注目ポイント

この875はかぶせモカを採用しているため、当時のアイリッシュセッターでみられる羽先のカン止めステッチ(下の写真の赤丸内)、レクタングルバータック、四角ステッチが入っていません。

注:スクエアステッチと呼ぶことがありますが、スクエアと言うのは、正方形です。4辺が同じ長さでなければスクエアではないです。長方形です。ということで、レクタングルステッチ(or バータック)か四角ステッチの方が適切な呼び名だと思います。

詳しくは、下に添付しているレッドウイングジャパンのFacebookの投稿記事をご参照ください。

考察

1964年は888が登場した年なので、888に合わせて、アイリッシュセッターの875もかぶせモカを一時的に採用したのかもしれません。

875がかぶせモカであれば、877もかぶせモカだったと想像していますが、現時点では確認できておりません。

現行モデル アイリッシュセッター カヌーモック

現行品では、カヌーモック9850と9851が、かぶせモカを採用しています。カヌーモックは、888の特徴であるノルウェイジャンウェルト製法を思わせるステッチ入りのスプリットリバース・ウェルトなども備えています。

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